みんな大好きメンズナックル・vol.1

ネットでこの画像を見た翌日、本屋のレジにメンナクを差し出している自分がいました。ファッション誌を買ったのは2年ぶりくらいです。その時の私の容貌(もっさり)的に、「ホストに騙されてる女が貢ぎアイテムチェックのために買ってるんだな」と思われてしかるべきだったと思います。

MEN'S KNUCKLE (メンズナックル) 2007年 12月号 [雑誌]

MEN'S KNUCKLE (メンズナックル) 2007年 12月号 [雑誌]

表紙からしてもう水っぽいシャバシャバした感じがよく出ていますが、まずは煽りにあるように「リアルにモテたい!?じゃGENNAROだろ」という事で、冒頭からGENNARO(ブランド)特集が始まります。モノトーンをメインにしたブランドらしく、「男のクオリティーはブラックをいかに着こなすかでキマる」等と謳いあげます。

モノトーンがメインだからといって、ただ上品に大人っぽく魅せるのとはワケが違う。ミリタリーやアウトドアなアイテムでさえ、ジェンナロらしく、伊達ワルらしく、シャープに、そしてクールに魅せる。それはファッションを知り尽くしたジェンナロだからこそできるテクニック。多種多様なアイテムが世の中に存在する今、ひと味もふた味も違うオリジナリティーを発揮してくれる。そして、美しいシルエットも特徴のひとつ。男の価値を上げてくれるシルエットはエロささえ感じさせる。
ブラックの味、コダわり抜いたディテール、美しいシルエット。三拍子揃ったジェンナロのアイテムに女たちが喰い付かないワケがない。モテるために作られ、モテるために着こなす。この相互関係をキープするには、女の味を知らないガキには難しいだろう。オレたち伊達ワルだからこそ、ジェンナロの良さを理解できるんだ。

「伊達ワル」はメンナクの合言葉です。考えるんじゃなく感じるものです。分かりやすく言うと「ホストの私服」です。一部引用しましたが、文章は雑誌全編を通してこんな感じです。わかったようなわからないような、道端でいきなりラッセンの絵を勧められたような気分になります。
ひとしきりブラックの魅力とジェンナロの魅力を垂れ流した後は、秋冬に向けってのジャケット特集に移ります。

俺たちにはモテる義務がある。この冬、モテる義務。
凍える女たちのココロとカラダを暖め、そしてモテまくること。それはもうナックルGUYに課せられた宿命。
それと同時に俺たちには権利もある。ジャケットを選ぶ権利。
この冬、モテまくるというタスクを遂行するために、伊達ワルなジャケットを選ぶ権利がある。

繰り返しが、繰り返しが好きなんです。続くワッシャーシャツ特集も含め、次から次にシャバシャバした男たちがバシバシと視線を決めていき、要所要所で、「とりあえずすれ違った女をみんなオトしてみせようか?」「ライダースを着ると女たちの視線がウザったくもなる」「トロけるようなエロさを世の中に魅せ付けてやれ」といった感じの煽りが入ります。メンナクは「女」「モテ」「エロ」で出来ています。あらゆるものが全てそのベクトルに向いているので、すがすがしいと言えばすがすがしいです。
続いて、「伊達ワル"GOLD"で男のエロスを覚醒させろ」と、「金」特集に移ります。「知ってるか?ゴールドを粋に魅せるだけせ女がオチるってことを!」です。

これでまた一歩、ホンモノに近づける。だってそうだろ?どんなに粋がったって、キング・オブ・カラーとも言えるゴールドをまとえないようじゃ、いつまでもホンモノの伊達ワル力は身につかないからな。

冒頭であれだけ褒め称えてたブラックが最早踏み台です。
紹介されるのは、ゴールドのダウンジャケット・ゴールドのペイントジーンズ・ゴールドのスニーカー・ゴールドのバッグ・ゴールドの財布。

しびれます。

次は「ストール&ネクタイが今季確実にモテる男の条件だ!」です。それについている煽りが「いつだってエロくなきゃ伊達ワルとは言えない」なんですけど、ストールとネクタイにまでエロを持ち込む心意気は見習いたいです。1年中が発情期。ゼブラ柄やら豹柄のストールやネクタイに混じって、なぜか1個だけ古いお笑い芸人がつけるようなデカい蝶ネクタイが紹介されているのもご愛嬌。

そして、皆気になる読者モデルの私服&私物をチェック!読者モデルって言ってますが、公式サイトのブログを見る限り、半数以上がホストです。男が男の私物を気にするって成立するんでしょうか。メンナクのターゲットは男性(ホスト)に加えて、その客の女まで見据えてるんじゃないかっていう気がします。ヘアワックス5種類くらいとかカップ酒とか期待を裏切らないのはともかく、豚の貯金箱持ち歩いて「冬物買ったつもり貯金!」とか言ってる奴が居て小賢しいです。

続く「モテヘアをGETしろ!」な美容院紹介コーナーでは、各サロンのオススメヘアスタイルが紹介されていきますが、「どのシーズーが一番可愛い?」って言われてるような感覚です。どうでもいいけど、ある美容師さんが「30歳という年齢を感じさせない若々しいデザイン作りが光る!」と紹介されていて微妙にダメージを受けました。30歳はメンナクから振り落とされる層のようです。

そして「マスト・バイ!」の煽りのもと、提携ブランドの紹介なんかが入ります。QRコードつきで携帯からその商品が注文出来るようになってるのがなかなか上手いです。商売っ気丸出しのくせに、「カオスに差し込む光のように輝いてみろ」とかどこまでも上から目線です。

だいぶお腹いっぱいになったところで、皆大好きストリートスナップがはーじーまーるーよー!(続く)