「ぬしさまへ」

ぬしさまへ しゃばけシリーズ 2 (新潮文庫)

昨日の「しゃばけ」の続編。こっちは短編集になってます。「事件→若旦那が解決」のパターンは相変わらずなんですけど、このシリーズはミステリ部分にそう重きを置いてなさそうなので、これくらいの短い話でまとめてる方がおさまりが良いなという印象。先に「しゃばけ」の方を読んで、キャラが世界観が気に入った!っていう人向けだと思います。
若だんなの兄に関するエピソードや、若だんなの自立心の芽生え(というかそれを強く意識する事件)、そして仁吉の恋物語と、今までのキャラを掘り下げていく感じの話が多いです。妖怪の恋、という設定だけで軽くテンションが上がる脳をどうにかしたいです。「相手は人間」っていう要素が加わると更に上がります。そこに「報われない」が入るとトドメです。
若だんなについてる仁吉と佐助(白沢と犬神)、普段は若だんなにこれでもかっていうくらい心血を注いでいて、その暴走のズレっぷりを若だんなは「やっぱり妖怪だからあんまり人間の事わかってないんだろうなあ」と受け止めてるんですけど、「虹を見し事」を読むに、こいつらやろうと思ったら完璧に人間らしい言動が出来そうで、っていう事は若だんなに対する暴走やズレは「わかっててやってる」という事でなかなかタチが悪くて良いですね。