「シグルイ」

シグルイ 4 (チャンピオンREDコミックス)

id:furamubon:20050627#1119884694の続き
シグルイ」4巻が無事に買えました。3日ほど連続で同じ本屋(3・4巻だけ品切れ状態だった)に通って「入荷しろ…!」の念をこめる事で買えました。店員さんには恥ずかしくて聞けませんでした。粘着です。願いは、きっと叶う。
3巻まで読んだ時点ではまだこれをどう判断するか決めあぐねてたんですけど、4巻は私にとっては一番面白かったです。3巻からサラっと数年が経ってるっていう設定にちょっとびっくりしつつ、最後まで「ど、どうなっちゃうの!?」とか思いながら読みました。読み終わった後、1〜3巻の発行年数を確認して、2月と6月(印刷では7月になってるけど)の間隔で出ていると知って、「じゃあ次読めるのは半年以上先かよ…」と絶望しました。タイムマシン!タイムマシン!「シルグイ」の続きも一気読みできないようで何が21世紀ですか!
他の方が書いてらっしゃるのでいらないかなあとも思うのですが、一応のあらすじ。Amazon曰く

江戸時代初頭、天下の法に反して駿河城内で挙行された真剣御前試合で対峙したのは、片腕の若武者と盲目の天才剣士だった!! 残酷無惨時代劇!!

ということですが、1〜4巻の時点ではその試合の様子は第一話でしか描かれておらず、主な舞台は数年前、その若武者と剣士が所属していた「虎眼流」という流派の剣術に関わる人々(創始者とその門弟・娘)にあります。
「剣士の物語」とかいうと、道を究める「美学」とか「誇り」とか「堅実さ」とかそういう類のものを連想してしまいそうですけど、「シグルイ」の世界観は何だか異次元風にねじれていて、まずその「虎眼流」の創始者たる虎眼先生なんですけども、昔は物凄い腕前だったようなのですがこれが「心の平衡を失ったのはいつからであろう…」「指の動きを制御できぬと自覚した時ではなかったか―」といった感じで、心(と頭…?)が基本的に迷子な状態でいらっしゃいます。でまあ、仔細は伏せますがやりたい放題で、私はてっきり「この門弟達の中には、こんな先生の醜態を晒し続けるなら、虎眼流を美しく飾るためにもこの手で先生を…!きっと先生もそれを望んでいらっしゃるのだ!」とかいう類の人がいるんじゃないのか、だってなんか誇りとかそういう世界でしょ?と思ってたんですけど、これが門弟の方々はそんな先生に完全服従状態で、自分でも何言ってんだかわからないような状態の先生の言いなりです。先生が何をやろうが、それは先生なので許されるのです。座敷で生の鯉を鷲掴みにして骨ごとかぶりついていても先生だから突っ込めません。敬い方を間違ってる。
虎眼流に関わる人達は万事その調子で皆さん色んな方向に突出しすぎていらっしゃるので見てていちいち「ヒイー!」です。あと剣士漫画としてズッパズッパの切り合いも欠かせませんので、血は当然として要所要所で内臓のボロリもあるよ!です。それはまあそういうシーンだからかなと思うのですが、第一話の見開きの表紙が「桜をバックに血と内臓を垂れ流して刀で切りあう全裸の男(カラー)」だったり、それ以降もコミック付属のカラーポスターやカラーページに描かれるのは「ふんどし一丁の男の筋肉と内臓」・「全裸の女の胸元がシースルー(内臓スケスケ)」・「半裸の女の腹部がシースルー(内臓スケスケ)」ばかりといった状態で、これは「必要に迫られて」とか「ストーリー上」とかじゃなく、ほんとに好きで描いてんだろうな…と思わされてゾクリとします。そうかと思うと作中でのちょっとした「ポワワン」的なシーンに躊躇なく花柄や水玉のスクリーントーンを散りばめていたりもして、それもそれで怖いです。
あと「乙女の恋心の芽生え」を表現するシーンで、娘の乳首が立つ様子を描く、っていう手法に卒倒しました。類似品として、すれ違った女の事を思い出した男が「あの女が…」と思いふけるシーンがあるのですが、その「あの女が…」の台詞と同時に描かれていたのは、男の股間(ふんどし)のアップ、というものがありました。ちなみにその背景には薔薇が散らされています。いいかげんにしてください!
とにかく登場人物があまねく怖いのですが、その怖さっていうのが、何ていうか、「歩いていたら前から傷跡だらけのガタイのいいヤクザが拳銃片手にやってきた」的な怖さじゃなくて、「歩いていたら前からミニスカートを穿いた男が包丁片手に"キャンディキャンディ"の主題歌を口ずさみながらやってきた」的な怖さです。余計分かり辛いですか。
見所を全て書き始めてしまうとキリがないのでこの辺でやめておきます。暇をもてあましている、最近刺激がたりない、心の中で色んなものに突っ込んでしまう癖がある、という方は是非どうぞ。私は3巻までは「オモシロ!」目線で読んでたんですけど、4巻では完全にストーリーを追う方に夢中になっていました。負けた。
あとこの文章を書いてる途中、3回「シルグイ」って打ち込んじゃったので、そっちもそっちで負け。

  • 参考リンク

「さよならテリー・ザ・キッド」(id:hurricanemixer) - シグルイ体験版