「たまちゃんハウス」

たまちゃんハウス 1 (クイーンズコミックス)

父・桜花亭春福を筆頭に、内弟子たちや三味線弾きの母など、珠子の家は落語に夢中な者ばかり。いったい何がそんなにオモロイの?なにわの落語家人情コメディー★

タイガー&ドラゴン」みたく、落語のネタに現実の話をリンクさせて上手い事まとめる、みたいな感じかと思って読んでみたら全然違いましたが良かったです。
基本的に1話完結で、落語の話もばんばか出てくるんですけど、あくまで主題は3人の内弟子と珠子で、それぞれの「落語が好きだ」「人(師匠だったり兄弟弟子だったり家族だったり)が好きだ」っていう情熱が溢れてて読んでてとても楽しいです。理屈っぽかったり暑苦しかったり押し付けがましかったりじゃなくて、ただ「あったかい」感じがとてもいい。
登場人物達が、落語をやる上での話(やキャラクター)の解釈について語ってたり、演じる上での細かいテクニックが紹介されてたり、薀蓄とまではいかないあくまでサラっとした扱いなんですけど、そういうのを読んでるだけで「面白そう」っていうのが伝わってきます。
作中に出て来る落語(師匠や弟子が寄席でやったり稽古したりしてる)に関しては、一応話の後に1ページ使った軽いあらすじと「この噺はこういう所が面白い」っていうポイント紹介がついてるんですけど、大抵オチまでは書いてなくて、「知りたかったら実際に見てみてね」っていう感じになってます。
師匠と弟子・兄弟子と弟弟子・師匠同士・親子、それぞれの関係性はどれも良いですが、キャラとして1番好きなのは早春です。3人の中では1番上の兄弟子で、出世頭で実力もあってしっかりしてるのに、微妙に性格が悪くて、1番のいじられキャラで、師匠にも「あいつは好かん」とか言われちゃってて普段から口答えしまくりなのに、実は誰よりも師匠を愛して尊敬してる、って。可愛すぎる。
それぞれのキャラにはモデルが居るみたいなんですけど、春福師匠は私の中で完全に桂ざこばになってます。娘持ちなとこと、怒りっぽさと大人げ無さが。弟子の春々に「ワシと吉兆(春々が尊敬している)の2人が溺れてる。浮き輪は1つ。お前どっちに投げる?」って迫るトコとか好きです。
そういえば上方落語を題材にしたものって初めて読んだ気がします。台詞が全部コッテコテの大阪弁なのも気持ち良いです。関東の人とかってあれ全部わかるんでしょうか。「なったないな」とか。