「光の海」

光の海 (フラワーコミックス)

先輩、人魚はじめてですか?
海や川に人魚が住む、わくわくするような日常。そこに生きる人間たちの、ごまかしのない姿を、しなやかな感性と細やかな視点で描き出した珠玉のオムニバス。

Twitterでオススメされていたのを見て買ってみました。
表紙がすごく好みだったので、ハズレてもまあいいかと思ってたんですけど、かなり良かった。
どれも少し胸に痛くて、じんわりと沁みて、何故か幸せな気持ちになれました。「こうなるのかなー」と思ってた予想が微妙に裏切られる事が多かったのも嬉しかった。単に人魚との交友を描くんじゃなく、「人魚と心を通わせる人を側で見ている人」(人魚と視線を合わせている相手は主人公ではない)っていう構図が多いのが良さのポイントのような気がします。
1番好きなのは父子(娘)家庭と川人魚の話・「川面のファミリア」です。電車で3人が並んで座ってるコマで、何でか泣きそうになりました。あと、良い笑顔を描く人ですね。「にー」っていう感じの笑い方がすごく好き。
人魚のヒレ部分がの描き方が、ウロコ状じゃなくイルカ状なのにちょっと違和感があったんですけど、あとがきに「海洋性哺乳類として描いてる」ってあったのに納得。漁師の人が人魚に網を食い破られて、でも条例で保護されてるから手出しが出来ないって言ってたり、ファンタジーと現実のちょうど真ん中あたりを狙ってるんですね多分。