「大奥」

大奥 (第2巻) (JETS COMICS (4302))

男女逆転大奥。1巻より時代を遡って、徳川家光が死去した後の大奥でどのように男女の転換が行われていったのかが描かれています。
最初によしながさんが男大奥を描いたと知った時は、「ウホッ!いい大奥…」系なのかと思ってたんですけど(酷い)、ここまでシリアスに読ませる話になるとはほんとにびっくりです。
1巻ではある程度(男女逆転の)地盤が出来てしまった上での話でしたけど、2巻はその過渡期なせいもあって、大奥の閉塞感というか息苦しさが物凄いです。1巻と同じ気持ちで読んでたら、あまりのヘビーさに口閉じられなくなった。
■■■以下はちょっとネタバレがある感想です■■■
しかし、1巻の終わりの時も思ったんですけど、よしながさんはほんとに話の見せ方が上手いなあ。上様(男のフリをさせられている女の子)がワガママを言って臣下に馬鹿騒ぎをさせて笑い転げるシーンのあと、場面転換で彼女の悲惨な過去の描写を挟んで、もう一度馬鹿騒ぎのシーンに戻った時は、その笑い声が悲しいものにしか見えなくなってて、そこに、そんな上様の中に押し込められた「女の子」を見つけたお万(無理矢理大奥に入れられた、元僧侶)の、「私が救う事が出来るのはこの方だけや」っていうモノローグ。畳み掛けるように

「なんと可愛らしい 私だけの上様」

「それは二羽の傷付き凍えた雛が 互いに身を寄せ合うように始まった恋であった」

で幕引きって鳥肌立つわ。少女漫画としても堪らん。
これで「3巻に続く」「でも12月28日発売の本誌でも続きが読めるよ」って言われたらそら買うわあ…。
作者本人が雑誌のインタビューで「8巻くらいまでは描く」って言ってたらしいし、かなりの長期戦になるみたいですね。