「ビューティフル・マインド」

ビューティフル・マインド [DVD]

プリンストン大学の数学科に在籍している数学の天才ナッシュは、念願のマサチューセッツ大の研究所で働くことに。ところが彼のもとに諜報員バーチャーがやってきて、雑誌に隠されたソ連の暗号解読を依頼する。

展開を知らずに見る方が絶対楽しいと思うので、感想(ネタバレします)は畳みます。



主人公が必死に打ち込んでいた調査活動が妄想で、実は統合失調症だったっていう所までは予想出来て、入院は「あーやっぱりなあ…」という感じだったんですけど、ルームメイトまでもそうだとは思ってなくて、存在しないと知った時は鳥肌が立ちました。
その時点で、何故か私の脳内では「妻にも去られ、病室で一人、いつまでも幻覚と戯れ続ける主人公」=「ビューティフル(脳内お花畑)マインド」っていうストーリーが完璧に出来上がっていて、「え?まだ終わらないの?」と眉間に皺を寄せてるうちに退院まで話が流れ、ああ、「家で一人、抜け殻のように生きる主人公」なのか?と思っていてもまだ終わらなくて、病気の再発&奥さんが家から逃げ出すシーンでは、「ああもうこれ確実に奥さん殺される…」「病院にUターンでお花畑マインド…!」って手に汗握ったのですけど、結構な感動モノとして収束していったのでそれにもびっくりしました。というか、自分がこんなにも頑なに、救いの無い映画(もしくはサスペンス)だと思い込んでいた理由がよくわかりません。
薬や電気ショックで抑えるわけじゃなく、病気を抱えたままで、それと何とか折り合いをつけながら生きて行くっていう答えはかなり意外なものでした。ラスト近くにあった、初対面の人を前に、近くにいた生徒に「あなたにも彼が見える?(私の幻覚じゃない?)」と質問するシーンはゾクっとしました。結構な精神力が無いと出来ない事だろうなあ。
欲を言うと、ノーベル賞受賞のあたりは、何だかふってわいたような印象を受けたので(ヘタすりゃこれも妄想なんじゃないかと思った)(自分のネガティブさにびっくりする)、その辺もうちょっと丁寧に描写されてたら嬉しかったなあと思います。
統合失調症の症状は自体は知っていて、これまではただひたすら妄想と現実の区別つかない人こええ…!ってだけだったんですけど、自分がこれまで当然のものとして受け入れていた人や物事を、ある日突然「それは無いものです」って言われて、世界(現実)を見失ってしまう患者本人の恐怖っていう部分はそんなに考えた事がなかったので、そういう意味でも見て良かったと思います。
主人公の奥さんの「(現実かどうかは)考えて認識するんじゃなく、触れて感じるもの」というような台詞が印象的でした。