「2046」

公式サイト:http://www.2046.jp/
なんか公式サイトを眺めるたびに「私が見たのは2046部分カット版とかなんじゃ…」「ひょっとして別の2046なる映画があるんじゃ…」と頭を抱えずにいられないのですが、はてなのキーワード「2046」を辿って色んな人の感想や解釈を読むのが面白いです。(以下思い出し怒り。ネタバレあり)
アンドロイドに恋した挙句リアクションがもらえず、「彼女が答えてくれないのは、彼女が俺を愛していないからだ」と身を引くキムタク(主人公の投影)ですが、それじゃあお前は彼女をホントに愛してたのかよー。とモヤモヤせずにいられない。
日本人商社マン(キムタク)・その恋人だが親の反対にあって引き裂かれそうな女・その女に片思い主人公、という構図で、主人公が女に「彼(キムタク)の気持ちを小説にしてみて」と言われて書いたのがこのアンドロイド話なんですよね。で、書いてくうちに女の恋人のキムタクに主人公が自己投影していっちゃうっていう。ああ説明ややこしい。
結局男(キムタク)が身を引いてアンドロイド(女)を諦めて終わる、っていう小説を(恋人を信じようとしてるであろう)女に渡しちゃう主人公の心理って何かちょっとモヤモヤ来ませんか…。誰に同意求めてんだかわかりませんけど来ませんか。男と主人公の気持ちをダブらせて書いた事が相手にもわかってるならともかく。結局女は男を追いかけて日本に行っちゃうわけですしね。(小説とは違い、「俺と一緒に行かないか」の誘いにこたえる形になる)
何が駄目なんだろうなあと考えてみたのですが、主人公が昔の女に捕らわれ続けるのはまあいい。その女の魅力もその思いの強さもこの作品だけじゃ全くわからない(前作に描かれてるらしい)のもまあいい。ただ、色んな女と戯れといて、結局気持ちを許せずに、主人公が自分の駄目さにショボーンとしたまんま終わる感じが気持ち悪い…!「後悔」とか「懊悩」とか「憤り」じゃなく「ショボーン」ていう感じが!が!1人ショボーンで暗転してエンドロールってそりゃあ私の口も半開きになりますよ…!
私は人の感情の機微やら、「ここで彼女がしたこういう動きは彼への思いの深さを表してる」やらというのが全くと言っていい程読み取れないので、解釈間違ってんのかなあ。間違ってんだろうなあと思いつつ悶々。ああ人ってわからない。だた、「2046」がJAROに訴えられかねない勢いで宣伝方法間違ってるのだけは確か。九分九厘意図的に誤解させてるんだろうなっていうのも確か。
あと疑問をチョコっと。
・「2046」という空間は「人の失われた記憶(愛?)が変わらないまま存在し続ける場所」っていう定義だったと思うのですが、そこで得られるものは「失ってしまった特定の人に対するもの」なのか「人を愛するという能力それ自体」なのかどっちなんだろう。後者だと思ってるんですけど違うのかな。
・小説内でキムタクがアンドロイドに囁く「俺と一緒に行かないか」は「2046」への誘い?
・「小説内のわからないところは想像でどうとでも補ってください」な作品なのかなあとも思うけど、それにしたってもうちょっと踏み込める何かが欲しい。