森博嗣「すべてがFになる」

すべてがFになる (講談社ノベルス)
初森。開始30ページくらいで萌絵の空気の読めなさに眩暈というか確実な嫌悪感を抱いてしまいました。てめえのチョコレートの食い方(噛まないで口内で舐めて溶かす)なんざどうでもいいんだよ…!とか本を握り締めてしまいそうになりました。すいません。でも読みました。勢いに乗るとスっと読めたのでわりと楽でした。
理系ミステリだと言われているようですが、それもあまり気にならず。正直プログラムの話やら進法の話とかは全くわからなかったけども「ああ、そうなのね。うんうん」と無理矢理丸呑みしました。
文章の点で言うと、後半になるにしたがって(前半は気に留めてなかったので気付いてないだけかもしれませんが)台詞での「……」の多用が引っかかって気持ち悪かった。皆が皆、語尾を濁しながら喋るのが。
動機にあまり重きを置いていないのが森ミステリ、ということらしく(?)感想なんかを見ていると「美学が高じた上での犯行」と書かれている事もあったのですが、その他の面でも登場人物の人間性にあまり思い入れを持てないなあという印象。要所要所で「天才天才」って騒ぎすぎていて、私はそういうのに逆に冷めてしまうのですが、この人はなんか「天才」的なものに異様な思い入れでもあるのかなあ。
この犀川と萌絵のシリーズは続刊が出ているようなので、一応読んでみようかと思っています。犀川の統合云々とか萌絵との関係云々とか。犀川が真相に気付いたあたりの描写が何だかなあとモヤモヤしたので続編読んだら納得できんのかなあ…と期待。