獣拳戦隊ゲキレンジャーをみんな見ればいいじゃない
日曜の朝7:30ていう、ある意味暴力的な(休日の親御さん達を子供の奇声で叩き起こすかのような)時間帯に放送されているヒーロー戦隊モノです。私は毎週見ているのでみんなも見ればいいじゃない!という訳でザっとあらすじと見所を説明します。私も1話からは見ていない上に色々と端折ってるので、ちゃんと知りたい場合は公式やwikiで調べるのがオススメだよ!(そして私に分かり易く教えてくれればいいじゃない)
今期の戦隊シリーズのテーマになっているのは、「獣拳」。ケモノの力を手にするとされる拳法・獣拳は、四千年の歴史の中で「激獣拳」と「臨獣拳」の2つの流派に分かれました。
正義の獣拳「激獣拳ビーストアーツ」
邪悪な獣拳「臨獣拳アクガタ」
- 悪しき目的を抱いた激獣拳拳士達が、分裂して悪の組織「臨獣殿」を創設。
- いったんは激獣拳に破れたものの、元・激獣拳拳士(元・ネコの弟子)の理央が、世界征服のため、過去に激獣拳に破れた臨獣拳使い達を蘇らせ、「臨獣殿」を復活させる。
臨獣殿暴れる→ゲキレンジャー出動→敵に軽くあしらわれる→ネコに泣きつく→敵の能力に対応出来るよう修行→敵にリベンジ→巨大化して合体ロボ戦、っていうのが基本パターンになっています。
ゲキレンジャー(激獣拳拳士)
表向きはスポーツ用品会社の体裁を取り、その中でネコがゲキレンジャー達の育成に励んでいます。メンツを大まかに説明すると、赤=底抜け馬鹿・青=イケメン担当真面目芸術家肌・黄色=元気力女という感じです。
正直、青と黄色はいまいちパンチに欠けるのですが、そんなキャラの弱さを補って余りあるインパクトを背負わされているのが赤。まず設定が「幼い頃からジャングルで生活」。野生児全開で走り回ってるところを偶然出会った激獣拳の人に拾われて連れ帰られたようなものなので、日常生活に差し障りがありまくります。「あれが欲しいのか?」と言って人様の庭先のこいのぼり盗もうとするって、ヒーローの言動としてギリギリアウトです。
そしてなんと言っても独自の言語センスが売りで、敵の気配=ゾワゾワ・かっこいいダンス=シュバシュバ・こいのぼり=ピチピチ・抱き合った感触=ホワホワ、といった感じで、周りの人間の眉間の皺を深くしてくれます。
精神年齢も小学生レベルで止まっているようで、「少年の心を持った大人」どころでは無いです。ひっくり返って手足振り回して悔しがったり、薄汚れた箱にガラクタ集めた「宝箱」を持っていたり、両手を広げて「ぶーん」と走り回ったり、その度になんだか妙な気まずさというか、「見てはいけないものを見ている」感が味わえます。
青も黄色も、そんな赤を真剣に怒るでも矯正させようとするでもなく、呆れながらも「赤はああだから、私達が頑張ってフォローしないと」っていう方向で動く事がほとんどで、これを「ありのままを受け入れている」と見るか、「問題の本質から目を逸らしている」と見るかで、あなたの心の歪み具合が計れます。一度、ゲキレンジャー達のロボがパワーアップして空を飛べるようになった時、敵を倒して「すっげー!飛んだ!飛んだ!」とはしゃぎ回る赤を完璧にスルーして青と黄色の2人だけがハイタッチで喜びあってた事があったので、その程度の関係なのかもしれません。
臨獣殿(臨獣拳拳士)
理央様(様がつきます)と、No2のカメレオン女・メレが率いています。
理央様は安い男前顔で眉毛の角度が攻めすぎてるのに加えて何故かわき毛の処理を完璧にされているというミステリアスぶりです。そして、チャイナ服姿+羊風ツノで事あるごとに太股やらガーターベルトやらをチラ見させてくれるメレは、自分を蘇らせてくれた理央様ラブで、行動原理の全てが「理央様のため」に向かっています。
ゲキレンジャーを指導する「拳聖」に対して、臨獣殿を指導するのは「拳魔」です。7人の拳聖(ネコを含め、ゾウやらコウモリやら)と3人の拳魔は元は同じ修行仲間でしたが、悪の意思を持って「臨獣殿」を創設した拳魔達は拳聖達にボッコボコにされた挙句、山やら海底やらに封印されてしまっています。そんな拳魔を蘇らせるには「真毒」と呼ばれるものが必要という事で、理央様とメレはゲキレンジャー達に手下をけしかけつつも、それと並行して真毒の持ち主を探し回ります。
「修行その9 ケナケナの女」
臨獣殿の中の1人・ブラコ(コブラの怪獣だから)がメレに理央様への謀反の企てを持ちかけてきます。当然、理央様命のメレがそれに乗るわけもなく、裏切り者!とトドメを刺そうとした所で、ブラコの返り討ちにあってしまいます。
実はブラコが「真毒」の持ち主。自分の力では真毒でパワーアップしたブラコの「大蛇砲」に勝つ事は出来ないと悟ったメレは、大蛇砲に似た、ゲキレンジャー達の必殺技「激激砲」を浴びるため、単身でゲキレンジャー達に戦いを挑みに行きます。何度も激激砲を浴び、倒れるメレ。それでもブラコを倒すため、何と言っても「理央様のために」と立ち上がり、ついに激激砲を受け止めます。正直、ゲキレンジャー側に感情移入が出来る人が居たのか不安になるほどのストーリー運び。
そして再びブラコに挑むメレ。身を削った特訓の成果でついにブラコを追い詰めたところで、ブラコはメレに真毒を自分の物にしたくないか?と持ちかけます。実は理央様の手で蘇ったメレ達はまだ完璧とは言えない中途半端な存在で、真毒を使う事で本当の意味で生き返る事が出来るのです。「本当の命が欲しいだろう?」と迫るブラコを、「私のことを知らなさ過ぎる」「私にとって生きるっていう事は、理央様の側に居るっていう事」と跳ね除けたメレは、見事真毒をゲット。膝をついて、「遅くなって申し訳ありません」と言いつつも嬉しそうに理央様に真毒を捧げます。
戦いの一部始終を見ていた理央様は、そんなメレに「よくやった」と手を差し出し、戸惑いながら恐る恐る手を重ねたメレと暫く見つめあった後、気まずそうにフっと視線を逸らせて立ち去ります。「理央様に喜んで頂ける、この一瞬が、私の生きている瞬間…」と呟くメレ。ベタベタに褒められたいだとか好かれたいんじゃなく、ただ側に居られるだけで幸せ・有難いと思っているメレと、理央様の、信頼というよりむしろ「こいつが俺に全てを捧げるのは当然」的な態度に痺れます。
あ。その間のゲキレンジャーは、別の敵と戦って「豚の角煮ー!」って叫びながら激激砲を打ってました。
「修行その16 ジリジリ!臨獣拳、課外授業」
真毒を手に入れた事で、拳魔達を蘇らせて指導を仰ぐ理央様。9話以降は、ゲキレンジャー達の通常のエピソードに加えて、理央様の修行の様子も描かれるようになります。ゲキレンジャー達の修行が「雑巾がけ」「ピアノを弾く」「手ぬぐいヌンチャク」「窓拭き」「楽しく釣り」っていうほのぼの感満載なものばかりなのに対して、臨獣拳の修行は「自らの絶望(弱さ)と向かい合う」と、本気(MAJI)っぷりが段違いです。
1人目の拳魔カタ(鷹の怪獣だから)の修行をクリアし、16話では2人目の拳魔ラゲク(クラゲの怪獣だから)に修行を乞うたところ、何故かラゲクはメレの方を気に入ってしまい、理央様の体に毒を打ち込みます。理央はこのままでは力を吸い取られて死んでしまう。助けたければ、本気を出してネコと戦えと迫られたメレは、ラゲクや理央様が見つめる中、単身、ネコとの戦いに挑みます。その場にはゲキレンジャーも居るには居るんですが、ラゲクの力であっさり足止め(文字どおり)され、一歩も動く事が出来ない状態で、「くっそー!」等の声を飛ばすのが主な仕事です。
いくら容貌がマヌケで手の動きがキモいメタボリック体型でも、拳聖は拳聖。攻撃を簡単にかわすネコに対し、メレは「理央様を守る!」と、自分の命を燃やして力に変える、捨て身の奥義を発動します。細い舌をすごい速さで伸縮させて連続で突き刺すっていう、女キャラとしてはわりと気持ちの悪い攻撃でネコを追い詰めるメレ。
「次に大技を出せばあの子は死ぬ」と解説が飛ぶ中、「誰も、理央様の髪の毛一本傷つける事は許さない!」とメレがネコに最後の技を放とうとした刹那、唸り声と共に力を込めて自らの毒を吹き飛ばす理央様。次の瞬間、メレの元に飛んでトドメを刺そうとした腕を掴んで抱きとめます。これ何てときめきイベント?
理央様の腕の中でホっとしたように気を失ったメレを横たえた後、怒り狂った理央様に、今度はラゲクがボッコボコにされます。ちなみにこの間、ゲキレンジャーは理央様の放った爆風に吹っ飛ばされて「ウッ…」とか言ってます。
理央様に散々やられて「役立たずは帰れ」と罵られたラゲク。「あなたがその力を手に入れたのは、メレを助けたいなんて気持ちじゃなく、負けたくないという気持ち」「ネコを圧倒したメレの強さへの嫉妬なのよ?」「最初からそれをあなたに教えるつもりだったの」「人を妬む気持ちこそが力になるのよ」「2人とも私のレッスンについてこれる?」と突然上から目線で説教ぶっこき始めます。そして驚くべきはそれに感心して片膝ついて教えを乞う理央様とメレです。仮にも悪を名乗る者がこんなに素直でどうしますか。
そして「敵のNo2が命さえかければ倒せるレベル」になってしまったネコとゲキレンジャーも、流石に危機感を持って修行に力を入れ始めますが、青・ウエイトトレーニング、黄色・腕立て、赤・パンチングマシーンと、「ちょっと運動不足が気になってきたお父さん」レベルの内容で、相変わらずほのぼの感を引き摺っています。あと、メレの命がけの攻撃に自分も命を振り絞った理央様に対して、殺されかけてたネコを前に「足が動かないよ!」レベルで何もしようとしなかったゲキレンジャー達。ネコに対する気持ちがどれほどのもんなのかが気がかりです。
ネコは「臨獣拳の邪悪さが増している…!」とか言って締めようとしてましたが、「人の強さに嫉妬して、負けたくないと思う」って、わりと真っ当な種類の向上心ですよね。